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三重県更生保護女性連盟 更女活動と更生保護

(1)更女活動と更生保護

 更生保護女性会の活動は,戦後多発した犯罪や非行を憂い,矯正施設に入所したり保護観察となった人たちを「放っておけない」との想いから,その更生を支援することから始まった。

 しかし,その後,戦後の混乱期を脱し社会が平穏化するとともに国の体制が整備・充実するに伴い,更生を支援する活動の領域が減少していった。また,保護観察所の指導の下で更女の組織化が進み,全国規模での組織化が果たされる一方で組織化自体が一つの目的となっていった面もあった。

 ところで,我が国の社会が大きく変動し,少年非行の増加,家庭や学校の養育・教育機能の低下が指摘されるようになると,更女は地域の抱える少年非行や不良環境の問題に目を向け始め,やがて各地域において,ミニ集会活動さらには子育て支援活動などの活動に積極的に取り組むようになった。

 このミニ集会を積み重ねる中で,地域に根を下ろすとともに地域におけるコミュニケーション力を高め,ネットワークづくりの体力を培った。

 そして,これらの活動を通して,更女は地域に自ら出かけていくとともに,地域におけるネットワークづくりに貢献するようになってきた。

 更生保護のあり方を考える有識者会議」の報告書において,更生保護ボランティアに,更生保護の考え方を普及する役割が求められているが,更生保護が真に地域に開かれ,国民参加の存在となるためには,地域に根を張った更女が,地域と更生保護との橋渡しとなることが期待されている。更女はこの役割を果たすため,更生保護ボランティアとして,更生保護の実態や課題についての情報収集に心がけ,その課題解決について考えて行動することが期待される。そのために,保護観察所においても,地域との橋渡しを行う更生保護ボランティアに対し,更生保護の現状等について十分な情報を提供して具体的な連携について理解が得られるよう支援することが望まれる。

(2)活動の指針

 日本更生保護女性連盟では,平成9年に会員の総意により会綱領を定めて,更女活動の理念を明確化し,そのことにより,全国20万人会員の意識統一が図られた。

その理念とは,

①一人ひとりが人として尊重され,社会の一員として連携し,心豊かに生きられる明るい社会をめざす
②更生保護の心を広め,次代を担う青少年の健全な育成に努めるとともに,関係団体と連携しつつ,過ちに陥った人た ちの更生のための支えとなる
③知識を求め自己研鑽に励むとともに,あたたかな人間愛をもって明るい社会づくりのために行動する
(「更生保護女性会綱領」から)

ことである。

ところで,目に見える活動を継続していくためには,活動の理念に沿った行動指針をはっきりと示す必要がある。更女では,この綱領で示された理念に基づきつつ,更生保護ボランティアの一員として,次のような目的をもって気づき,考え,行動することが極めて大切である。

ア 犯罪をした人や非行のある少年を,排除の論理ではなく,地域社会の一員として取り組み,共に
  生きるという志向を共有するとともに,その支援活動を行う。
イ 更生保護が国のみの仕事ではなく,地域住民にとっても身近に考えるべき課題であるというメッ
  セージを発信し続けて,更生保護の理念が理解され,受け入れられる地域社会づくりに参画す
  る。

 特に,最近,犯罪や非行をした人を地域から排除する風潮が広がっているのではないかと懸念される。また,個人の努力だけでは立ち直りが難しい人も増えている。更生保護女性会には,犯罪や非行をした人を社会復帰させる地域社会づくりが重要な役割となってきたのではないか。

(3)更女活動の力

 更女活動には,次のような特長があり,これらを活かして行動することが期待される。

ア 更生保護の理念を実現するため,保護観察所と連携しつつ,志を同じくする保護司,BBS会等
  の更生保護ボランティアや更生保護施設とスクラムを組んで行動する。
イ 日常生活に根ざした女性の視点や力を持って,困難な課題に直面しても「でもね」といって粘り
  強くトライしようとするしなやかさを活かして行動する。
ウ 生活圏を中心に活動する地域密着型ボランティアと特定の活動目的を中心に活動する課題解決型
  ボランティアの両方の型を兼ね備えた組織モデルを目指して行動する。

(4)今後の活動への期待

(1)ボランティア活動は,地域の人々に寄り添いながら必要な活動を見つけて行うのが基本である。
   そのためには,常にアンテナを高くして,地域の課題に気づき掘り起こす努力をすること。
(2)地方自治体及び様々な地域ボランティアと積極的に連携を進め,地域のネットワークを築き,更
   生保護と地域の橋渡しの役割を果たすこと。
(3)女性としての特徴を活かしつつも,さらに活動の幅を広げるため,活動に男性の協力を得ている
   地域もでてきた。
   性別年齢を問わず広く協力を得られる体制づくりについて検討すること。
(4)更生保護はその対象となる人のプライバシー保護に配慮するあまり,広報には慎重な面があっ
   た。今後は,その良さは活かしつつも,具体的な活動を通して,もっと声をあげて存在意義をア
   ピールすること。それが更生保護の考え方を広めることにつながる。
(5)多数の会員を擁し,かつ行動する組織としての特色に配慮して,運営方法を工夫し,その一人
   ひとりの会員を活かし,参加機会を広げることにより,社会参加や地域ネットワークとの交流を
   実感できる運営を目指す。そのことにより組織の活力を一層高めるとともに,後継世代へのつな
   ぎを円滑にすること。
 

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