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目まぐるしく情報が行き交い、高速化する現代
高度に合理化・効率化されたシステムの中で
私たちは日々暮らしている
「時間をかけること」が忌避されがちな世の中にあっても
過去のあやまちへの反省とミリアに向けた立ち直りに
諦めずに寄り添い続ける人たちがいる
私たちの「待つ時間」は、きっと誰かの「変わっていく時間」
人に希望を見出し、信じて待つこの姿勢こそ
更生保護の真価であり、温かみであり、
現代社会にまばゆく輝く光であると思う
犯罪からの立ち直りには,彼らを見まもり支える地域社会のあたたかい心が必要です。また,彼らが立ち直り,二度と犯罪を犯さなければ,私たちが暮らす地域も安全で安心なものになるのです。
犯罪や非行をした人を社会から排除・孤立させるのではなく、再び受け入れることが自然にできる社会にするため次の事項を重点事項としています。
① 出所者等の事情を理解した上で雇用する企業の数を増やすこと
② 帰るべき場所がないまま、刑務所から社会に戻る人の数を減らすこと
③ 薬物依存からの回復と社会復帰を長期的に支える地域の環境を作ること
④ 犯罪をした高齢者・障害者等が、社会復帰に必要な支援を受けられる環境を作ること
第61回"社会を明るくする運動"中央推進委員会では,「黄色い羽根」を運動の正式な広報資材とし,運動の一層の定着のために活用していくことが確認されました。
この「黄色い羽根」は,長崎地区保護司会が考案し,第58回の運動から取組を始めたもので,運動のシンボルマークであるヒマワリと,刑期を終え出所した男性をあたたかく迎える夫婦愛を描いた映画『幸福の黄色いハンカチ(昭和52年,山田洋次監督)』にヒントをえて作られたものであり,全国各地に広がりを見せています。
この"社会を明るくする運動"はどのようにして誕生したのでしょうか。昭和24年7月1日に非行少年や犯罪者の立ち直りの支援と,犯罪の予防を目的とした犯罪者予防更生法が施行されました。これによって更生保護制度が新しくスタートしましたが,戦後の荒廃した社会の中にあって,街にあふれた子供たちの将来を危惧していた東京・銀座の商店街の有志が,この法律の趣旨に共鳴し,同年7月13日から1週間にわたって「犯罪者予防更生法実施記念フェアー(銀座フェアー)」を開催しました。
この銀座フェアーは銀座を挙げての行事であり,軽音楽などの様々な催しが行われたほか,銀座の飲食店の従業員延べ2,000人が炎天下,保護少年のために二葉のバッジを売り,その売上げを更生保護のために寄附しました。
この銀座フェアーが刺激となり,また,同フェアーと翌25年に開催された「矯正保護キャンペーン」を通じて,犯罪の防止と罪を犯した人たちの立ち直りには一般市民の理解と協力が不可欠であるとの認識が深まり,昭和26年,この活動を「社会を明るくする運動」と名付け,社会に広めることとしました。これが,"社会を明るくする運動"の始まりです。
第1回の"社会を明るくする運動"では,中央行事として全国保護司大会等が開催され,矯正・更生保護に関する壁新聞,リーフレットの発行,ラジオ放送による広報活動などが行われました。また,地方行事としては,矯正管区単位で収容少年の野球大会,学校・PTAに対する更生保護関係者を講師とする巡回講演,"社会を明るくする運動"強調運動記念の「市民の集い」などが実施されました。
“社会を明るくする運動”では,これまで法務大臣からのメッセージを地方公共団体の長へお届けしていたところ,第65回からは内閣総理大臣からのメッセージとなるなど,法務省だけでなく政府全体の取組として進められるようになりました。
皆様方におかれましては、法務省が主唱する"社会を明るくする運動"に対し、日頃から多大な御協力を賜り、心より御礼申し上げます。本運動は、国民の皆様が、犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの立ち直り(このような犯罪や非行からの立ち直りを支援する活動を「更生保護」といいます。)について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための国民運動として、全国各地で様々な取組が展開されており、本年で74回を数えます。近年においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、大規模な対面のイベントが制限されるといった影響もありましたが、動画コンテンツの配信やSNSの活用など新たなチャネルも活用して、地域の皆様のお力添えもいただきながら、運動を力強く続けてまいりました。
第71回(2021年)から第73回(2023年)までの3年間は、「♯生きづらさを生きていく。」をキャッチコピーに掲げて本運動を実施してまいりました。誰もが抱えうる「生きづらさ」にスポットを当て、ポスターのキャッチコピーやストーリーに触れた方々が、どこかで共感してもらうことを意識して取り組み、結果として、数多くの反響をいただきました。
本年は、運動コンセプトや広報デザインを一新して展開してまいります。本稿では、本年における第74回"社会を明るくする運動"について紹介します。
第74回運動のコンセプトとして掲げたポイントは次の三つです。
① 孤独・孤立や生きづらさは誰もが抱え得る問題であるということを共通理解とし、人と人が緩やかにつながる包摂的な地域社会を目指すこと
② 「人は変われる」ということを信じ、人が「変わっていく時間」をポジティブなものとして、希望を持って受け止めること
③ 「希望を持って『立ち直り』を待つ更生保護ボランティア」の存在を更に周知することすなわち、孤独・孤立を始めとした「生きづらさ」は、犯罪や非行をした人だけが抱える特別なものではなく、誰しもがその当事者となり得ます。その上で、犯罪や非行のない明るい社会を築くためには、見守り、支え合う地域社会の実現が重要であり、更生保護の活動やそれに携わる保護司を始めとする身近な更生保護ボランティアの方々、そして地域社会におけるつながりが必要不可欠であると考えています。
第74回運動においては、これまでよりも一歩踏み込んで、地域の中で誰かが担わなくてはならない役割を果たし続けている保護司を始めとした更生保護ボランティアの活動にフォーカスし、その存在や活動に関心を持ってもらうための取組に力を入れてまいります。
更生保護ボランティアの存在や地域のチカラの魅力を広く伝えていくため、広報デザインの中核に据えたテーマが「時間」の概念です。
情報通信技術の急速な発達により、私たちのライフスタイルは大きく変化しました。一人ひとりがスマートフォンを手にし、指先一つであらゆることが実現可能になりました。先述した感染症との闘いもそれに拍車をかけ、私たちのコミュニケーションは"リアル"なものから、インターネットを介した"ニューノーマル"に取って代わりました。
これらの時代の移り変わりは、私たちの生活を飛躍的に便利にしてくれましたが、その代償として、Z世代に代表される若年層を中心として、「待てない社会」「ファスト文化」などと形容されるように、タイムパフォーマンス(時間対効果。いわゆる「タイパ」。)を価値基準とし、「時間をかけること」や「待つこと」をネガティブなものとして評価する風潮も生まれました。
一方で、更生保護の世界では、立ち直りを「待つ」ことや「時間をかけること」は決してネガティブなものではありません。立ち直ろうと努力する人に希望を見出し、その立ち直りを信じ続けています。更生保護ボランティアの方々にとって、「待つ時間」とは、人が「変わっていく時間」であり、人を信じてともに「寄り添う時間」として、むしろポジティブなものと考えています。そして、その寄り添う時間・存在こそが、立ち直ろうと努力する人たちの精神的な支えとなり、人を更生に導く特別なモチベーションを生み出しています。この考え方は、更生保護や"社会を明るくする運動"の真価として、高速化する現代社会にこそ一際光を放つものであると考えています。
"社会を明るくする運動"は各都道府県、市町村において、地方公共団体、保護観察所、民間団体等が協力して、毎年、各地域に根差した特色ある活動を展開しています。特に、強調月間である7月中は、各地で様々な広報イベントや地域の方々と協力した活動が行われています。
まずは、これらの各地の活動を地域の方々に知っていただき、さらにはイベントに参加いただけるよう、積極的な情報発信を行ってまいります。昨年12月には、本運動の広報ツールとして、"社会を明るくする運動"ウェブサイト(https://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/syamei/)をオープンしました。本サイトを本運動や更生保護に関する情報発信の中核的ツールとして活用し、引き続きSNS等も効果的に活用し、一層の周知広報に努めてまいります。
本運動が目指す立ち直り支援の輪に、是非御参加ください。
本年も、全国各地において、多様で豊かな運動が展開されますよう、皆様方の御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
法務省では,再犯防止や更生保護,社会を明るくする運動などについて,SNS等を通じて情報発信をしています。
社会を明るくする運動ホームページ
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